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納得のいく医療を提供する――。その一念で、クリニックから病院を展開するまでに至ったわけとは?

取材日:2018年3月2日

医療法人いつき会

 「あなたは納得のいく医療を提供できていますか?」――。医師の誰もが、”納得のいく医療”を提供したいと思いながらも、現実の壁にぶつかり、実現できないことが多いのかもしれません。そんな中でも、医療法人いつき会(愛知県一宮市)は、患者へ納得のいく医療を実施できているといいます。なぜそれが実現できるのか、その裏側に迫りました。

“納得のいく医療提供”と経営を両立

 医療法人いつき会は、平成7年に透析クリニックを立ち上げて以降、規模拡大を続け、平成14年にいつきクリニック一宮を開院しました。その後も同法人は医療分野以外にも裾野を広げ、平成14年にはいつき介護相談センター犬山を開所し、平成16年に介護老人保健施設いつきの里を、平成22年にアクティブいつきを、平成23年にはアクティブいつき里小牧を開設しました。さらに、平成24年には同法人の集大成となる医療・介護・フィットネス複合型施設、いつきクリニック石川橋を開院。また、平成25年には名古屋市から市民病院の民間譲渡を受託し、守山いつき病院(愛知県名古屋市/101床)をオープンしました。

 クリニックの経営から始まった同法人が、病院を得るほどにまで成長した勢いを見ると、「ノルマが厳しく、経営にうるさい医療法人なのだろう」と思うかもしれません。しかし、成長の原動力はまったく別の点にあると、佐藤正樹理事長は話します。

佐藤正樹理事長
佐藤正樹理事長

「患者様にとっての最適な医療を考え、医師が納得のいく医療を提供する、これが当法人の診療方針であり、成長の原動力です。医師が納得し、患者様のためになる医療を提供すれば、結果はついてくると信じています。

 ただ、そうした診療を実現するためには、経営が安定していることが第一条件。そこで我々は医療ニーズがあり、ライバルのいない地域を見つけ出して展開するようにしています。激しい競争にさらされるはことなく、無理をしなくても患者が集まり収益がついてくる。経営が安定している分、医師が納得のいく医療を提供できるようになる。そうした戦略のもと展開しています。実際に、当法人にとって最初のクリニックである樹クリニックは、犬山市で初となる透析クリニックでしたし、その後のクリニックや介護施設も、ニーズはあるのにサービスが十分届けられていない地域を選んで展開してきました」(佐藤正樹理事長)

 同法人が行うニーズに応えていく経営戦略は、医療の質を追求するための利益を確保しやすく、「納得のいく医療を提供したい」という思いを持つ医師たちを惹きつけています。守山いつき病院で院長を務める遠藤治樹先生もその一人。入職理由を「信頼を得られる医療ができそうだったから」と話します。そして、実際に入職してもその印象は変わらなかったそうです。

守山いつき病院 院長 遠藤治樹先生
守山いつき病院 院長 遠藤治樹先生

「ここに来て、『(不要に)検査をしなさい』と指示を受けたことはないですし、診療ノルマもありません。利益を優先してしまうと、患者様のことを診なくなりますし、医師にとってもストレスになりますから、そういった余計なストレスがない分、目の前の患者様の診療に集中することができます。

 余計なストレスがないどころか、自分の中の「納得のいく医療」を追求したい場合には、投資もしてもらえます。実際にわたしは循環器内科の医療機能を強化するために、カテーテル室に新しくアンギオを導入してもらいました。当法人の規模でこのレベルのアンギオを導入しているところは無いと思いますし、むしろ大学病院にも遅れを取っていないのではないでしょうか。あとはわたしたちがハードをいかに活用して、患者様のためになる医療を提供できるかですね」(遠藤治樹先生)

大きな裁量権、しがらみのない職場環境、良好な人間関係… 若手が語るいつき会の魅力

 独自の経営戦略のもと、納得のいく医療を提供する、という診療体制を確立し、成長を遂げた同法人。法人規模が大きくなる一方で、経営陣だけでは全ての施設で提供する医療の質を向上させていくのは難しく、職員らが自ら問題点を把握し、改善する組織を作る必要がありました。そこで、同法人では現場医師に裁量権を与えることで、自主性のある組織作りを図っています。その一例ともいえるのが、守山いつき病院の骨粗しょう症リエゾンチームの設立です。「”納得できる医療”のためなら、何でも認めてもらえます」と話す谷口祥一先生は、自らの意思で骨粗しょう症リエゾンチームを立ち上げました。

谷口祥一先生
谷口祥一先生

「ご高齢の患者様が多く、骨折後の再骨折を予防する必要性を感じて、リエゾンチームを立ち上げました。経営陣に希望を伝えたらすぐにゴーサインをもらうことができ、起案からチーム立ち上げまで全く時間がかかなかったと思います。意思決定の早さは当法人の良さなではないでしょうか。

 また、チームへの参加を他部署に呼び掛けた時に、みなさんが前向きに協力してくれたのはありがたかったですね。いつき会の職員は全体的に若く、医師も学会発表したがるような勉強熱心な方々が多いので、自由闊達で人間関係が良好なことも大きく影響していると思います」(谷口祥一先生)

 裁量権を与えることの他にも、自主性のある組織を作るために、同法人ではしがらみのない職場作りに注力。出身大学や年齢層が偏らないようにするために、医師採用の間口を広げています。医局の影響がないフリーな採用は、いつき会のある愛知県と縁のない若手医師も惹きつけました。それが守山いつき病院で総合内科医として勤務している伊藤真由子先生です。広島県出身の伊藤真由子先生は、東海地方での勤務経験がない中、いつき会に飛び込みました。

伊藤真由子先生
伊藤真由子先生

「愛知県内で総合内科医として自由で働きやすそうな医療機関を探していたら、当法人に出会いました。入職するにあたり、特定の大学医局に入る必要はありませんでしたし、科目ごとの壁もまったくありません。わたしは家庭医を目指しており、入職後から訪問診療に行くようになったのですが、診療で疑問に思ったことは他科の先生にも相談しています。縦割りと無縁の環境は本当にありがたいですね」(伊藤真由子先生)

 しがらみのない医師採用に加え、同法人では納得のいく医療を実現するための、医師が疲弊しない体制が必要と考えています。ワークライフバランスを保てるよう当直はすべて非常勤医に任せているほか、時短勤務を男女ともに可能にしているだけでなく、子育てがしやすいように環境も整備。職員の働きやすさ追求してきた結果、仕事と家庭の両立ができる企業だけが認定される“愛知県ファミリー・フレンドリー企業”に選ばれました。

今の医療提供に疑問を感じている医師へ

 納得のいく医療を提供する、という思いを起点に急拡大を続ける同法人ですが、地域の医療ニーズに応えるために医師を求めていると、佐藤正樹理事長は話します。

「20年以上経営と診療を続けてきて、当法人では患者様のためになる医療、医師が納得できる医療の提供を行えていると思っています。しかし、まだまだ地域の医療ニーズに応える余地はある。守山いつき病院では外科系の医師も求めていますし、当法人の強みでもある人工透析に携わる腎臓内科医師は常に求めています。『わたしは今、納得しきれる医療を提供できているだろうか』とお考えの先生はぜひ一度、見学にお越しください。あなたの思いに私たちがお応えします」(佐藤正樹理事長)

 もしも今、職場での医療提供に疑問を感じていたり、法人規模は大き過ぎないけれども病院やクリニックなど選択肢が多い場を求めていたり、という希望を持っているならば、一見の価値がある医療法人と言えそうです。