心臓が悪いからといって、体に負担をかけないように安静な生活をしていると、心臓の機能はもちろん、呼吸器や運動器(筋力)なども低下してしまいます。
外来における心臓リハビリテーションの目的は、病気の再発・悪化を予防するためのものだけではありません。普段どのくらい動いていいのか、スポーツはしても大丈夫なのか、また食事やお風呂の心配など、いろいろな疑問を解消する場でもあります。そのため、運動療法と共に冠危険因子の改善を目標とした食事指導や禁煙指導、緊急時の対応方法のご理解など包括的なサポートが必要となります。
当院では医師をはじめとし、理学療法士、管理栄養士、薬剤師、看護師などの専門職種が連携をとり、患者さまに合わせたリハビリテーションの提供をいたします。
急性心筋梗塞、狭心症、開心術(冠動脈バイパス術や心臓弁膜手術)後、慢性心不全、大血管疾患(胸腹部動脈瘤術後など)、閉塞性動脈硬化症
患者さまにとって有益な効果として以下の結果が研究で明らかになっています
① 運動耐容能の改善・心不全症状の軽減
② 狭心症症状の軽減
③ 心理的側面:不安・抑うつ・QOL (生活の質)の改善
④ 狭心症・心筋梗塞患者の長期予後改善(心血管死亡・総死亡率低下)、
心事故減少(再入院・再カテーテル治療)
⑤ 心不全患者の心事故減少(死亡・再入院)
AT とは嫌気性代謝閾値(Anaerobic Threshold)の略語で、筋肉で乳酸が産生され始める運動強度のことを指します。AT 付近の運動は有酸素運動と呼ばれ、その特徴は、①エネルギー源として炭水化物とともに脂肪が使われること、②楽に長く運動が継続できる運動強度で心肺に負荷がかからない効率の良い運動といえます。
心臓リハビリではこのAT を測定し運動処方箋に応用します。
心肺運動負荷試験(CardioPulmonary Exercise test:CPX)とは、自転車エルゴメーターを用いて運動負荷試験を行い、心電図および連続呼気ガス分析装置による呼気中の酸素・二酸化炭素濃度・換気量をリアルタイムに計測し、呼吸・循環・代謝指標を科学的に分析する試験です。
狭心症・心不全の評価に有用なばかりではなく、当クリニックでは心臓リハビリの運動処方箋の作成にも使用いたします。